ハイチは年間を通じて熱帯気候に属し、乾季(11月〜4月)と雨季(5月〜10月)に分かれますが、便宜上、日本の四季にあてはめて、気候の特徴と主要な季節イベント・文化を解説します。
春(3月〜5月)
気候の特徴
- 3月:乾季終盤で降水量が少なく、日中は28〜30℃、夜間は20℃前後
- 4〜5月:雨季の始まり。5月中旬以降は午後を中心にスコールが増加し、湿度が上昇
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
3月 |
カーニバル(Carnaval) |
2月末〜3月初旬に開催。乾季の晴天を活かし、街中で色鮮やかな仮装パレードが繰り広げられる。 |
3〜4月 |
ララ祭(Rara) |
復活祭前の期間に各地で開催。路上を行進しながら太鼓やホイッスルで祝う。乾季終盤の涼しい朝夕に適した屋外行事。 |
4月 |
イースター(Pâques) |
キリスト教の復活祭。家族での礼拝・食事会が中心。雨季入り前の安定した天候で屋外での集まりも多い。 |
5月 |
国旗記念日(Fête du Drapeau) |
5月18日。独立戦争を記念し、パレードや式典が首都ポルトープランスで行われる。乾季残りの安定した気候の下で開催。 |
夏(6月〜8月)
気候の特徴
- 高温多湿:最高気温30℃以上、湿度70%超の日も多い
- 豪雨・ハリケーンリスク:6月以降は熱帯低気圧が発生しやすく、短時間強雨や暴風に注意
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
6月 |
海の祭り(Fête de la Mer) |
漁業コミュニティ中心に開催。降雨の合間を縫って漁の豊漁を祝う戸外行事。 |
7月 |
聖母被昇天祭(Assomption) |
7月15日。カトリックの祝日でミサや行列が行われる。雨季の合間の曇天または小雨の中で実施。 |
8月 |
農村祭(Fêtes Communautaires) |
各地域で収穫前の準備や共同作業を兼ねた祭りが行われる。高温多湿の中、夕方以降に集中。 |
秋(9月〜11月)
気候の特徴
- 台風シーズン後半:9月は最も熱帯低気圧の影響を受けやすい
- 10〜11月:降水量が徐々に減少し、湿度がやや下がる
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
10月 |
コーヒー・カカオ祭(Fête du Café et du Cacao) |
コーヒー・カカオ産地で開催。乾季入り直前の爽やかな気候で収穫を祝う。 |
11月 |
諸聖人の日(Toussaint) |
11月1日。先祖の墓参りを行う習慣。乾季の涼しい気候で墓地への訪問が容易。 |
冬(12月〜2月)
気候の特徴
- 乾季ピーク:降水量が最も少なく、湿度も低下
- 日中の平均最高気温は28℃前後、夜間は20℃を下回ることも
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
12月 |
ジャズ・フェスティバル(Jazz Festival) |
年末に首都などで開催。乾季の穏やかな気候で野外コンサートが楽しめる。 |
1月 |
独立記念日(Jour d’Indépendance) |
1月1日。屋外パレードや式典を通じて国民的祝賀を行う。乾季の晴天が多い時期。 |
2月 |
カーニバル始まり(Carnaval Pre-Lent) |
キリスト教の四旬節前夜祭。乾季終盤の涼しい夜間に仮装パレードやダンスが行われる。 |
季節イベントと気候の関係まとめ
季節 |
気候の特徴 |
主なイベント例 |
春 |
乾季終盤〜雨季前半(降水増加開始) |
カーニバル、ララ祭、イースター、国旗記念日 |
夏 |
高温多湿、豪雨・ハリケーンリスク |
海の祭り、聖母被昇天祭、農村祭 |
秋 |
台風シーズン後半〜乾季入り(降水減少開始) |
コーヒー・カカオ祭、諸聖人の日 |
冬 |
乾季ピーク(降水・湿度最少) |
ジャズ・フェスティバル、独立記念日、カーニバル前夜祭 |
補足
- 多くの祭りはキリスト教行事(カトリック)やアフリカ由来の伝統行事が融合して発展しています。
- 農業や漁業のサイクルに合わせ、収穫・豊漁を祝う地域祭が各地に存在します。
- 熱帯気候ゆえに降雨パターン(乾季/雨季)が文化行事の開催時期を左右します。
ハイチでは気候特性と深く結びついた文化・宗教行事が暮らしに根付いており、四季のような区分はないものの、日本のように季節感を持って楽しむ習慣が見られます。