ブータンは標高差が大きく、四季ごとに気候や文化行事が色濃く変化します。以下に季節ごとの気候特徴と主なイベントをまとめました。
春(3月〜5月)
気候の特徴
- 気温:日中は5℃〜15℃、夜間は氷点下に近い日もある
- 降水量:乾季の終わりで降水少なめ、4月以降に若干増加
- 特徴:雪解けが進み、山間部では残雪と新緑が共存
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
3月 |
プナカ・ツェチュ祭 |
農閑期の終わりに開催。晴天が多く屋外舞台が映える。 |
4月 |
パロ・ツェチュ祭 |
春の訪れを祝う仮面舞踊祭。日中は暖かく、観光客も参加しやすい。 |
5月 |
仏誕祭(サカダワ祭) |
ブッダの生誕・成道・入滅を記念。山の雪解け水で沐浴を行う。 |
夏(6月〜8月)
気候の特徴
- 気温:15℃〜25℃前後で比較的涼しい
- 降水量:6月末〜9月初旬がモンスーン期で雨量多め
- 特徴:高山地域では急激な天候変化、湿度上昇
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
7月 |
トンプー夏祭り(Thimphu Summer Festival) |
伝統工芸やスポーツを披露。晴れ間を狙って屋外会場で開催。 |
8月 |
農民の日 |
モンスーン明けの収穫準備期間前に感謝祭として田植え前の儀礼を行う。 |
秋(9月〜11月)
気候の特徴
- 気温:10℃〜20℃で過ごしやすい
- 降水量:9月に残留少雨、10月以降は乾季に入り晴天続き
- 特徴:空気が澄み、ヒマラヤの峰々がくっきり見える
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
9月 |
ハー夏祭り(Haa Summer Festival) |
山間部の文化行事。晴天の下、地元の伝統舞踊や市場が賑わう。 |
10月 |
ルンチェ・ツェチュ祭(Lhuentse Tshechu) |
紅葉とともに行われる仮面舞踊祭。冷え込みはあるが安定した天気。 |
11月 |
ジャンバイ・ラカン祭(Jambay Lhakhang Drup) |
山岳寺院での裸身儀式。澄んだ空気の中で厳かな雰囲気が漂う。 |
冬(12月〜2月)
気候の特徴
- 気温:日中0℃〜10℃、夜間は−10℃以下になる地域も
- 降水量:乾季のピークでほとんど降雨・降雪なし
- 特徴:放射冷却で朝晩厳しく冷え込むが、日中は快晴が多い
主なイベント・文化
月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
12月 |
ドチュラ・ドゥルク・ワンギェル祭(Dochula Druk Wangyel Festival) |
冬晴れの高地で108基の仏塔と鮮やかな舞踊を鑑賞。 |
1月 |
クロヌク・クレーン祭(Black-necked Crane Festival) |
渡来するツルを祀る。冷え込みが厳しいが、青空と白銀の対比が美しい。 |
2月 |
ロサール(ブータン新年) |
チベット暦新年。旧暦に合わせ変動するが、乾燥した晴天が多い。 |
季節イベントと気候の関係まとめ
季節 |
気候の特徴 |
主なイベント例 |
春 |
残雪と新緑の共存、乾季終盤 |
プナカ・ツェチュ祭、パロ・ツェチュ祭、サカダワ祭 |
夏 |
モンスーン期の多雨、涼しめ |
トンプー夏祭り、農民の日 |
秋 |
晴天続き、紅葉、澄んだ空気 |
ハー夏祭り、ルンチェ・ツェチュ祭、ジャンバイ・ラカン祭 |
冬 |
乾季ピーク、放射冷却で厳寒 |
ドチュラ祭、クロヌク・クレーン祭、ロサール |
補足
- 標高差により、同じ季節でも地域ごとに体感気候が大きく異なる
- 仏教行事は暦法に基づき、気候の安定期を狙って開催される
- 冬季の乾燥期は野鳥観察や登山に適しているが、夜間の寒さに注意
- 春〜秋の農耕文化と祭りは季節の移ろいと深く結びついている
ブータンでは自然環境と宗教文化が一体となり、気候の変化を祝祭や儀礼を通じて感じ取る習慣が根付いています。