ソマリアは東アフリカに位置し、赤道付近にあるため年間を通じて高温で乾燥した気候が支配的です。モンスーンの影響により雨季と乾季が交互に訪れ、遊牧や農耕などの生活様式に強く影響を与えています。以下に、ソマリアの季節ごとの気候の特徴と文化・イベントを紹介します。
春（3月〜5月）
気候の特徴
- 気温：日中は30℃以上になる日が多い
- 降水：4月〜5月にかけてグ・グア（Gu）と呼ばれる主要な雨季
- 特徴：乾季から雨季への移行期で、農耕開始の目安とされる
主なイベント・文化
| 月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
| 3月 |
農耕準備期 |
雨季に備えた畑の整地や種まき準備が始まる。 |
| 4月 |
グ・グア（Gu）雨季の始まり |
本格的な雨が降り出し、農作業が本格化。放牧活動も広がる。 |
| 5月 |
牧畜の移動 |
草の生育にあわせて牧草地を求めて移動する遊牧文化が見られる。 |
夏（6月〜8月）
気候の特徴
- 気温：40℃前後まで上昇する酷暑
- 降水：ほとんど降雨がないハガー（Xagaa）と呼ばれる乾季
- 特徴：強風が吹く季節でもあり、塵や砂塵の被害も
主なイベント・文化
| 月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
| 6月 |
ハガー乾季の始まり |
畑作や牧畜に厳しい季節。水源確保が重要となる。 |
| 7月 |
海岸部の漁業活動 |
内陸部が高温のため、沿岸部では漁業が生活の中心になる。 |
| 8月 |
水確保の儀式 |
雨乞いの伝統や祈祷が一部地域で行われることもある。 |
秋（9月〜11月）
気候の特徴
- 気温：30℃前後に下がり、過ごしやすくなる
- 降水：デイリ（Dayr）と呼ばれる短い雨季が10月前後に発生
- 特徴：農耕の再開期として重要な季節
主なイベント・文化
| 月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
| 9月 |
畑の再整備 |
短い雨季に備え、農地の再整備や準備が進む。 |
| 10月 |
デイリ（Dayr）雨季の開始 |
短期作物の栽培が行われる。地域によっては放牧活動も活発に。 |
| 11月 |
収穫期・市場の活気 |
短期作物の収穫とともに、地域市場の取引が活発になる。 |
冬（12月〜2月）
気候の特徴
- 気温：比較的穏やかで25〜30℃程度の過ごしやすい季節
- 降水：ジル（Jilaal）と呼ばれる最も乾燥した季節
- 特徴：遊牧民にとって厳しい時期、水源の確保が重要
主なイベント・文化
| 月 |
イベント |
内容・気候との関係 |
| 12月 |
ジル乾季の始まり |
牧草不足に備え、家畜の移動や売却などの対応が取られる。 |
| 1月 |
遊牧の移動 |
厳しい乾季に対応するため、遠隔地への移動が行われる。 |
| 2月 |
クランの集会 |
年初に部族・家族単位での集会や儀礼が行われる地域もある。 |
季節イベントと気候の関係まとめ
| 季節 |
気候の特徴 |
主なイベント例 |
| 春 |
高温・主要雨季の開始 |
グ・グア雨季、農耕準備、放牧活動 |
| 夏 |
酷暑・乾季・強風 |
ハガー乾季、水の儀礼、沿岸の漁業活動 |
| 秋 |
短い雨季・気温低下 |
デイリ雨季、収穫、再耕、放牧の再開 |
| 冬 |
最も乾燥・穏やかな気温 |
ジル乾季、遊牧移動、クランの年初儀式 |
補足
- ソマリアの季節は、乾季と雨季のサイクルに基づいており、農業・牧畜・漁業など生業全体がこれに連動しています。
- 特に遊牧民文化では、雨や水源の確保が最重要課題であり、季節ごとの移動や儀式が生活の中心となっています。
- 気候とイスラム暦に基づいた宗教的行事（ラマダンやイード）も連動しており、祝祭日と気象環境の調和が見られます。
ソマリアでは、過酷な自然環境と共存しながら築かれてきた独自の季節感があり、気候と人々の営みは密接に結びついています。各季節に見られる生活スタイルや文化行事は、乾燥・雨量・気温などの自然条件に適応しながら発展してきたものです。
一部曇り